気磨暮俳句会 | ||
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第189回気磨暮俳句会のご報告 <如水庵から> 講評 三田土龍 平成21年10月18日(日)蒲郡荘「小島A」 | ||
出席者(8名) 板倉迷酔 田中まるこ 本多雅女 三田土龍 小田一生 鈴木睦月 平岩鹿月 杉村酔月 投句者(7名) 鈴木亜斗武 建長寺彩夏 吉里ひとみ 尾池豊念 牧原周途 金子エム 林コスモス 母が他界して八年が過ぎた。この間、年に数回、母は夢に現れては僕の世話をやいてくれた。つい先日も夢の中で食卓で鶏のカラ ラアゲを料理して僕の皿に盛ってくれていた。僕が食べ終えると「もう疲れたから寝る」と言って母は床に着いた。なんとなく母の枕元に いくと布団の中の母が言った。「今日で最後だからね。」そして母は眠りについた。他界してから八年間も心配をかけ続けていたかと思 うと我ながら申し訳なかったような気もするし、それが次元を越えた母性愛かとも思えてくる。先ほどの食卓で父は黙々とカラアゲを食 していた。二年前に他界した父は、どうやらこの先も総領のの甚六の三田土龍を心配し続けてくれそうである。ありがたい。ありがたい。 そろそろ講評を始めます。 田中まるこ 「秋の暮猫に愚痴言うやるせなさ」下五が絶妙である。 平岩鹿月 「秋空にホームランボール吸いこまれ」景がよおーく見えますよ。 林コスモス 「ナツメロで秋の夜長をのんびりと」この句会の楽しみは意外な言葉が登場すること。「ナツメロ」を五七五に使うなんて素敵 でござるよ。 杉村酔月 「頑固にも色変へぬ松我れ自身」たくましく生きぬいてきた自画像か。 吉里ひとみ 「そこここにとなめ飛びたる箱根かな」「となめ」を数えていただきありがとう。 |
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第187回気磨暮俳句会のご報告 <如水庵から> 講評 三田土龍 平成21年8月16日(日)蒲郡荘「小島A」 | ||
出席者(6名) 板倉迷酔 田中まるこ 本多雅女 杉村酔月 小田一生 岩月真之介 投句者(6名) 鈴木亜斗武 建長寺彩夏 三田土龍 吉里ひとみ 平岩鹿月 尾池豊念 およそ一年ぶりに周途氏の句が朝日俳壇に入選した。幾千句の中から金子兜太選十句の六句目に載っている。蒲郡市牧原祐三と 本名での投句である。「我眠る故に我在り箒草」箒草は、ははきぐさと読む。一般には、ほうきぐさという。哲学的な句だから、気磨暮俳 句会では、わけのわからん句として相手にされないだろう。しかしながら全国紙の俳壇に一流の選者による選にはいったのだから、レ ベル的には高い句なんだろう。一番喜んでいるのはご本人だろうが僕もうれしい。どうか会員の皆さんも新聞に投句したり、いろんな俳 句大会に投句してください。自分の句が世間に通用するかどうか試してみるのも面白いですよ。それでは講評を始めます。 建長寺彩夏 「夕焼や屋根の猫らを染めてゆく」きれいな句。 鈴木亜斗武 「恋をして買ふ香水の小びんかな」いい句ですねえ。 尾池豊念 「夏休み友海外へ我れ昼寝」ふてくされた豊念氏は酒におぼれ痛風になってしまった。 吉里ひとみ 「五歳女子金魚掬ひのチャンピオン」ひとみ氏の第一句集に、ご本人の写真が載っている。ちょうどそれ位の年頃の写真 かと思う。 杉村酔月 「風鈴の音色もしめるこの夏は」中七「音色もしめる」の感性を大切にして下さい。 |
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第186回気磨暮俳句会のご報告 <如水庵から> 講評 三田土龍 平成21年7月19日(日)蒲郡荘「小島A」 | ||
出席者(10名) 柴田迷酔 田中まるこ 本多雅女 杉村酔月 小田一生 岩月真之介 三田土龍 平岩鹿月 鈴木たかこ姫 織田金太郎 投句者(6名) 鈴木亜斗武 建長寺彩夏 牧原周途 吉里ひとみ 林コスモス 尾池豊念 「河童忌の庭石暗き雨夜かな」内田百閨B7月24日が芥川龍之介の忌日、河童忌である。龍之介は神経衰弱にかかり自殺したと報 道された。しかし、内田百閧ヘ「芥川君の死因については、種類の複雑な想像が行はれたが、さういふ色色の原因の上に、あんまり暑 いので、腹を立てて死んだのだらうと私は考えた。」と芥川の八回忌の文章中に私見を述べている。百閧「うところの暑さに腹を立てて 死んだというのが実に愉快である。こうゆう世間とは全く違う意見というのは、二人の間に親交があったからこそと思われる。 いよいよ夏本番です。芥川のようにならないよう、お気をつけください。それでは講評の始まり始まり。 本多雅女 「扇風機タイマー切れてまた入れて」理屈抜きに笑えてきます。 杉村酔月 「大花火障子ゆるがし犬吠える」お見事。 鈴木たかこ姫 「鰻飯タレだけかけし昔あり」この句も笑わせてもらった。 鈴木亜斗武 「お行儀の良い子悪い子心天」リズム感のすこぶる良い句。 平岩鹿月 「自家製の玉ねぎたっぷりカレー煮る」実に美味しそうな句である。人気の母の味でしょうか。 |
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第185回気磨暮俳句会のご報告 <如水庵から> 講評 三田土龍 平成21年6月21日(日)蒲郡荘「小島A」 | ||
出席者(8名) 柴田迷酔 田中まるこ 本多雅女 杉村酔月 小田一生 岩月真之介 鈴木睦月 三田土龍 投句者(8名) 鈴木亜斗武 建長寺彩夏 牧原周途 吉里ひとみ 林コスモス 尾池豊念 平岩鹿月 金子エム 「日の暮れて鰻の針を置きにゆく」村松二本句集『天竜』より。この句集中、一番に僕の心に響いたのがこの句である。天然鰻は夜に なると活動するので川であろうが海であろうがこの時間帯に仕掛けに行く。二本氏は、たぶん川にこの針を仕掛けたのだろう。僕は海 に近いので漁港の岸壁に大きなミミズをつけて仕掛けをしたものである。とてもなつかしい中学時代の思い出。いざ鰻が釣れると大変 でテグスにグルグル巻きになって手に負えなかった。不器用な僕はそのまま家に持ち帰って、あとは全て母にお願いしていた。二本氏 は釣りあげたあとの獲物はどうしているんだろう。はい、それでは講評を始めます。 田中まるこ 「父の日や栄養ドリンク届けたり」とにかく中七に意表をつかれた。類例がない。 建長寺彩夏 「玉葱を魔除けのやうに軒に吊る」農家ではよく見る光景であるものの魔除けにまで広げるとそうかもと思えてくるから不思 議だ。 鈴木睦月 「水滴が少し重たいどくだみ草」話し言葉またいでナチュラルです。 鈴木亜斗武 「羊水に浮かぶ姿の昼寝かな」毎年夏になると亜斗武氏は「三尺寝」の句を投句してくれるが、今回はその「三尺寝」の型を 句にしたんだなと思った。 三田土龍 「気紛れに濃茶いただく梅雨の夜」友人宅でさんざん酌みかわしたあげく、奥様に濃茶を所望した。小説「利休にたずねよ」 を読んだばかりだったので我がままをきいてもらった。ありがとう泰子さん。 |
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第184回気磨暮俳句会のご報告 <如水庵から> 講評 三田土龍 平成21年5月17日(日)蒲郡荘「小島A」 | ||
出席者(9名) 柴田迷酔 田中まるこ 本多雅女 杉村酔月 小田一生 岩月真之介 平岩鹿月 鈴木たかこ姫 鈴木睦月 投句者(5名) 鈴木亜斗武 建長寺彩夏 牧原周途 吉里ひとみ 林コスモス 三田土龍 尾池豊念 「向日葵の蕋を見るとき海消へし」芝不器男。先日、周途氏に会ったおり夏の句で好きな句を教えて下さいとお願いしておいた。 しばらくして返ってきたのがこの句である。そもそも俳句は理屈でなく詩なんだから、ただそのまま読んでそのまま感じとれば良い。そ れは個々の感じ方でかまわない。この句の場合だと、作者の瞳には、海と向日葵が写っていたようだ。そして視線を向日葵に集中して いたら、あの大きな種の一杯つまっている蕋に心を奪われてしまったのだろう。そこから想像がどんどんふくらんで、この種が地に落ち て向日葵が咲く。際限なく続くその営みが海をも埋めつくしてしまうのではないかというバカげた幻想へと発展してしまう。心を夏炉冬扇 の世界と誘なってくれる一句である。はい、講評。 本多雅女 「母の日は良き事のみを伝へけり」お洒落ですね。 建長寺彩夏 「ハンカチに包んで帰る山の幸」ごく自然にハンカチの本意を俳句にできたと思います。 鈴木たかこ姫 「声高に売子振る舞う新茶かな」結好、おいしそうな感じつかんでますよ。 吉里ひとみ 「じゃんけんで新茶当てをりバスの旅」毎日インフルエンザのニュースばかりでうんざりしています。たまには日常から離 れて句帳片手に旅でもしたいよ。 尾池豊念 「恋人になったばかりのさくらんぼ」いい句作りましたね。 |
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第183回気磨暮俳句会のご報告 <如水庵から> 講評 三田土龍 平成21年4月19日(日)蒲郡荘「小島A」 | ||
出席者(11名) 三田土龍 柴田迷酔 織田金太郎 尾池豊念 田中まるこ 本多雅女 杉村酔月 小田一生 岩月真之介 平岩鹿月 鈴木たかこ姫 投句者(5名) 鈴木亜斗武 建長寺彩夏 牧原周途 吉里ひとみ 林コスモス 「海見ゆるかぎり青春豆の花」菖蒲あや。初めて句碑を意識したときの句がこの句である。西浦半島の丘に西浦園地がある。 ちょうど三河湾が眺望できるのでこの句を選んだのであろうか。その広場の西側にひっそりとこの句碑が建立されている。 生前のあやさんには、俳句鍛錬会で数度お会いしているものの、とうとうこの句の意味を聞きそびれてしまった。僕自身が初学の頃 だったのでちんぷんかんぷんの質問をしては失礼と思い込んでいたかもしれない。俳人にとって自分の句に興味をもってもらうことが どんなに嬉しいことか解かっていなかった自分がいた。今、自分なりに読み解いてみると、ここから見える海は、見渡すかぎり青春の 息吹が伝わってくるなあ。ちょうど今咲いている豆の花のように。天国のあやさんは、どんな心境でこの句を詠んだのだろうか。違って いたらごめんなさい。 平岩鹿月 「飼い主に目もくれず行く恋の猫」永田耕衣の有名な句に「恋猫の恋する猫で押し通す」がある。鹿月さんの句の方が、や や上品に仕上がっておりますな。 本多雅女 「寝ころべばたんぽぽのわた耳くすぐる」素直に作りましたね。この線で。 牧原周途 「まどろみの中にまどろむ子猫かな」うとうとしている子猫をじっくり観察している作者が垣間みえる。 |
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第182回気磨暮俳句会のご報告 <如水庵から> 講評 三田土龍 平成21年3月15日(日)蒲郡荘「小島A」 | ||
出席者(7名) 三田土龍 柴田迷酔 織田金太郎 尾池豊念 田中まるこ 本多雅女 杉村酔月 投句者(9名) 鈴木亜斗武 建長寺彩夏 牧原周途 吉里ひとみ 平野涼風 林コスモス 小田一生 岩月真之介 平岩鹿月 「少年や六十年後の春の如し」永田耕衣。ドッヂボールをしている少年達を眺めながら作句したのであろうか。少年らがあげる 喚声にいかにも春だなと実感したのだろう。俺にもそんな少年時代があったんだよ。君たち、今を存分に楽しんでおけよ。これから いろんな経験を積むだろうが、俺のような老境にはいると、それがとても懐かしい。その時代に帰りたいとは思わないが今の君達を 眺めながらその春のような元気さに俺もワクワクしてるのさ。そんな風に土龍はこの句を観賞した訳です。僕もこの 2月で 56才に なり老境にさしかかった訳で、今までの経験を元に作句したいとは思っているものの、いくつになっても新しい経験はあるもので、心 も気持ちも少年です。さあ、少年少女の皆さん、講評の始まりです。 本多雅女 「散歩するコース外れて土筆摘む」参加者全員に選句されました。 小田一生 「まっすぐで人間くさく卒業歌」久しぶりに一生節がでましたね。 三田土龍 「コンクリを一寸跳ねし落椿」そんなこと現実には起こりえない。しかしながら俳句にはそれができる。 |
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第181回気磨暮俳句会のご報告 <如水庵から> 講評 三田土龍 平成21年2月15日(日)蒲郡荘「小島A」 | ||
出席者(7名) 三田土龍 小田一生 柴田迷酔 岩月真之介 平岩鹿月 鈴木たかこ姫 田中まるこ 投句者(8名) 鈴木亜斗武 建長寺彩夏 牧原周途 吉里ひとみ 本多雅女 平野涼風 鈴木睦月 林コスモス つい数日前のとても寒い夜のこと。近くに住む同級生から旨い酒がはいったので呑みにおいでと誘われ、自宅から自転車でで かけた。昼神温泉で買ってきた濁り酒をごちそうになった。奥様の手料理とさりげない世間話に久しぶり家庭ってのもあってもいい と思ったものである。そしてまた、自転車で寒風の中を家路に急いだ。なんでもない日常である。ところがさにあらず、翌朝目覚め てみると確かに右足首にあった高さ 2 センチ程のこぶが消えてしまったのである。最近、正座するとこぶが床にあたり痛かったの に平気である。一晩にしてこぶが消えた。こぶ取じいさんのように何かいいことをした訳でもない。あの半球型のこぶはどこへ消え たんだろうか。そういうごく小さな不思議なこと、あなたにもありますか。それでは講評を始めます。 鈴木亜斗武 「梅白し汀女の句碑のくずし文字」汀女とは中村汀女。大正昭和と活躍した女流俳人のさきがけ。代表句「外にも出よ 触るるばかりに春の月」上五「外」は「と」と一音で読む。 鈴木たかこ姫 「出不精の犬のシッポに春一番」僕も出不精ですので、居ながらにして季節を感じるのもまたいいもんです。「シッポ」は 「尻尾」に。 平野涼風 「昨年のは義理チョコだったと今年知る」これも笑の一句なり。今回の句会は笑える句ばかりで句会中、みんなずっと 笑っておりました。 |
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第180回気磨暮俳句会のご報告 <如水庵から> 講評 三田土龍 平成21年1月18日(日)蒲郡荘「小島A」 | ||
出席者(12名) 三田土龍 小田一生 岩月真之介 柴田迷酔 平岩鹿月 磯部睦語呂 鈴木睦月 林コスモス 青木涼月 尾池豊念 鈴木たかこ姫 竹内永徳 投句者(8名) 鈴木亜斗武 建長寺彩夏 牧原周途 吉里ひとみ 本多雅女 金子エム 平野涼風 田中まるこ どうやら僕にはミュージカルを楽しむ能力が不足しているのかもしれない。劇団四季「キャッツ」を観劇したものの前半は熟睡、 後半は適当に観ていた程度である。東京五反田キャッツシアターは千二百名の座席数、それを満席にして猫達が歌い踊りしてい た。ストーリーがわからない。登場する猫達の役柄がわからない。熱狂的なファンらは、手拍子をし握手の手を猫らに差し伸べてい る。平日にもかかわらず老若の女性らが大半である。やっぱり女性は猫族に近いのかも。招待旅行での一こま。僕には猫に小判 だったかも。ただ今より講評を開演致します。 平岩鹿月 「体重を隅に記して発日記」この句会の女王に君臨して10数年になる。今年は一皮むけるといいですね。 林コスモス 「再会に心ときめく発句会」僕もときめきましたよ。 尾池豊念 「春立ちぬ息子の部屋のにおいかな」立春の句だから少し早いけど、まあいいか。 |
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