損金不算入問題
平成18年度税制改正で、平成18年4月1日以降に始まる事業年度(平成19年3月31日以降の決算)から、特殊支配同族会
社の業務主宰役員(オーナー社長)の給与所得控除相当額を損金に参入できないことになった。この結果、従来は利益
の殆どを役員報酬で個人に移し、個人が貯蓄し、必要に応じて会社に貸し付けるということが節税対策として広く行わ
れてきたが、このような節税対策が有効に機能しなくなる。内部留保金課税の廃止と法人税率低減が加われば、運転資
金は、利益を現金で社内に留保して備えるという本来の経営スタイルをとりやすくなったということでもあるが、従来
なら100万円程度の利益となるはずが、300万円の利益となってしまう(そのための納税準備をしなくてはならない)と
いうことでもある。(計算シート)
1)どの程度利益が増えるのか(損金不算入額)
給与額 |
損金不算入額 |
|
超 |
以下 |
|
0 |
650,000 |
給与額×100% |
650,000 |
1,625,000 |
650,000 |
1,625,000 |
1,800,000 |
給与額×40% |
1,800,000 |
3,600,000 |
給与額×30%+180,000 |
3,600,000 |
6,600,000 |
給与額×20%+540,000 |
6,600,000 |
10,000,000 |
給与額×10%+1,200,000 |
10,000,000 |
給与額×5%+1,700,000 |
※ 例えば、月100万円の役員報酬であれば、新たに230万円が損金不算入(場合によっては利益)となる
2)損金不算入制度の適用除外
次のような要件のいずれかに当てはまれば適用除外となる。
@非同族会社
Aオーナー社長一族の持株比率が90%未満である
B常勤役員のうち、オーナー一族の占める割合は半分以下である
C前3年間の法人所得とオーナー社長の役員報酬の合計額(基準所得金額)が800万円以下である
D基準所得金額が3000万円以下で、オーナー社長の役員報酬がその50%以下である
3)増税の事例
法人所得200万円、役員報酬月100万円のケース。
従来の法人税は 44万円
ところが、230万円が損金不算入となるので、法人税は94.6万円