基本給を見直す

年功序列の給料は、必要給という面で一理あります。でも、若いからできないとは限らないし、歳をとっているからできるとも限りません。だからといって、仕事給を徹底すればいいのでしょうか。どう徹底するのかも問題ですが、助け合いの精神を無視すると、ギクシャクするのも確かです。

1)簡素な賃金制度
  賃金制度改定の最大の目的は、今の賃金の決め方の矛盾に気付くところにあります。俗に鉛筆給と呼ばれる決め方であっても、合目
  的的に優劣が付けられれば問題はありません。矛盾点は、例えば、総支給額のグラフを書いてみるとよく分かります。仕事の優劣と
  総支給額の多寡が異なっていませんか。扶養家族手当、住居手当、精皆勤手当等による所謂基本給の予期せぬ上下や、残業手当によ
  る総支給額の上下が問題なのです。すごく貢献している課長が40万円なのに、その部下が70時間の残業をして50万円をもらっている
  状況で、その課長はやる気が出るのでしょうか・・・。よかれと思って色々な手当を付けると、支給総額がコントロールでき難くな
  ること。その問題に気付くべきです。

2)定期昇給神話
  ゴールデンウイークの頃になると、定期昇給はナンボ、ベースアップはナンボと喧しくなります。しかし、そんな交渉に何の意味が
  あるのでしょう。会社は、50万円出せるのに20万円しか出していないのかも知れませんし、20万円しか出せないが、無理に借金をし
  て30万円を出しているのかも知れません。貸借対照表まで見なくては賃上げ要求などできないはずなのです。いや、設備投資なども
  勘案しなければ評価できません。労働分配率世間並みも有効な指標でしょう。それなのに、労働団体は、何を根拠に賃金の多寡を議
  論できるのでしょうか。年中行事ではありますが、そのエネルギーをほかに向けたらいいのにと、私は思います。こんな世の中なの
  に求人票には「定期昇給」の蘭があります・・・。何でこんな世の中になってしっまったのでしょうか。

3)給料は生活の基本
  暮らしを立てるためには給料の額は重要です。家族の状況によりかかる金の額は色々ですけれど、それを保証するのも経営者の甲斐
  性でしょう。そうであればこそ、付加価値の分配方法が重要になり、付加価値の確保が重要になります。そしてそれは労働者の協力
  なしにはできないことを自覚し、情報の開示と公平な利益の分配に心を砕くその姿勢こそが部下の心を動かすものであることを認識
  することが重要です。やる気の原動力は給料が全てではないでしょうが、給料も大きなウエイトを占めていることに思いを置くこと
  も、また、必要だと思うのです。単純な賃金制度は、それを容易にします。