俳句集   三田土龍


六月
 水打つと思へば女ころびけり 五月
 口つけて恵みの泉すすりけり 四月
 万愚節同じ轍にはまるもんか 三月
 コンクリに一寸跳ねて落椿 二月
 ほつほつと山笑ひけりほつほつと 一月
 饅頭と寒九の水を供へけり
十二月
 暖房の電車にをんな鼾して 十一月
 落葉舞ふ季節になりぬくわりん糖 十月
 秋の蝉なぜかまとはりついてきし 九月
 名月やゆつたりと痔は治すべし 八月
 まだ下手な太鼓と笛や端居して 七月
 炎帝が夜明けを待つてやつてくる