テイルズオブレジェンディア レビュー

リバース雪辱戦。
リバースからほとんど間隔を置かずにレジェンディア。
負けは許されません。

ところで、 発売後すぐに発表されたアビスが藤島デザイン。
…やる気削がれませんでした?


序章 テイルズオブレジェンディアに対する期待と不安〜不安の方が大きいテイルズは初めてだ〜

それほどまでに、リバースはクソゲーだったと思う。これはもうほぼ全ての部分において。あれを「売れる」と思っていたならかなり問題であろう。…まぁ、リバースはなかったことにしておきましょう。これだけ続けばたまには駄作もありますわ。

…とはいえ、そのために不安要素が大きいままにレジェンディアを迎えることになります。リバースで唯一まともと思われたスリーラインすらなくし、ワンラインで勝負。シンフォニアからの複数ラインを外す意図は?始めから「キャラクタークエスト」を謳うのは2部構成のネタバレではないのか?そんな疑念を抱きつつ、以下本編。それにしてもアビス楽しみだな(え?)

1章 システム編〜テイルズの8割を占める要素〜

1.クロスオーバーリニアモーションバトル

略してクロスオーバーリムス。今回はシンフォニアのマルチライン、リバースのスリーラインと続いてきた複数ラインをなくし、基本のワンラインで勝負。これは俺としては不可解でした。というのも、過去2作品での複数ラインは良かったと思うんです。確かにそれ故の弊害もあったんだけど、それ以上に戦闘フィールドを広く見せる、特技や魔法などの効果範囲、背後に回る…などの戦術的要素を多く取ることができたので。最後の背後に回るのはパッシングスルーがあるから良いにしても、とにかく戦闘フィールドの窮屈感は感じた。それに付け加えて、今回はテイルズ戦闘のアクション要素を台無しにする、FOEがデスティニー2以来の復活再登場。これが例えばスリーラインだったらかわして逃げ惑うこともできたであろう(ま、オートは食らうだろうけど)。デスティニー2と違ってチェック系で完全に防げるとはいえ、元々戦闘中にメニューを開くのが嫌いなんで(リズムを損なうから)付け替えるのもイヤだし。チェック系がない場合はその中に入らないように遠くへ逃げるしかないが、ワンラインである以上はジリ貧。これが能力低下を招くものだけとか、毒ならギリギリ耐えたと思う。時間経過や多段ヒットで消えるとはいえ、これが石化やマヒなど行動を阻害するものだったら最悪。テイルズ戦闘の醍醐味がなくなります

それと、クロスオーバーという名前の意味も分からんな。「ナムコの格闘ゲームのノウハウを投入した…(以下略)」、つまり鉄拳とかとのクロスオーバーなんだろうけど、それはテイルズとは関係ないものだからね。少なくとも今までのシリーズは独自のシステムを名前に取り入れていたよ。そういった点からも何となく物足りなさは感じられたし。そしてワンラインということで期待していたんだけど、コンボコマンドもやっぱりない。全体的に小さくなっちゃたな、というのが戦闘に関しての大雑把な感想。

2−1.特技体系

今回は虎牙破斬のあるテイルズ特有の特技体系。俺はこっちのほうが好きなんで問題ないかな。リバースやデスティニー2は他シリーズにも出てくるなじみの技がなく、そのために「テイルズ」っぽさを損なってたと思う。リバースに関しちゃ回復魔法という概念すらなかったからねぇ。世界観が違ってもそれくらいの統一性は欲しい。ただ今回、対空技の性能にやや問題があったかも。通常の上空攻撃は槍を投げるモーゼス以外はまず当たらなかったからね。ジャンプ攻撃はオートはあまり出してくれないし、そのために不必要に乱戦になった気がする。直接攻撃系は「アーツ系爪術」、魔法系は「ブレス系爪術」と分けるが、名前が分かれている意味はさほどない。

2−2.投げ技

セネルのみ習得できる、今回初登場の特技。レベルが上がるにつれてより重い敵を投げられる技に進化していくのは良かったかな。敵ダウン時に唯一有効な攻撃手段なんだけど、敵がダウンしてる時(味方でも)は一切の攻撃を受け付けないからねぇ。その時に大きな技や術が発動するとがっくり(笑)。というか、少しでもダメージ受けろや。普通ならダウンしてる時こそ一番ダメージ受けなきゃおかしいだろ。連打で速く起き上がれるとかにすればよかったのに。セネルのオート時は絶対に使ってくれないのは問題だと思う。

2−3.我流奥義

これも今回初。アーツ系爪術士のみが2つの特技を組み合わせて、特定の敵に効果を発揮する技を作り出すシステム。…なんだけど、実際ほとんど使わないよね。やけに消費TPも大きいし、別にカットインがあってカッコいいワケでもないし、一撃必殺の威力を誇るワケでもない。特定の敵にしか通用しないからわざわざ特技スロットに組み込むのも面倒だし、オートは絶対に使おうとしない。俺は最後、シャーリィがタイダルウェーブを覚えるに必要なディノワームのスカルプチャを集める時に、ディノワームに効くセネルの我流奥義をセットしたくらい。それ以外では全く使わなかった。

2−4.ブレス系爪術とスカルプチャ

今回最も盲腸システムだと思われるのがスカルプチャ。魔法の習得にはレベルが上がって呪文書を手に入れ、さらに2種類のスカルプチャを必要数揃えるという手順が必要。これって意味あるのか?スカルプチャ自体には効果はなく、魔法の習得に必要なだけ。それ以外の使い道はないのでアイテムとしての意義もない。合成に使えるとかアイテムと交換できるとか、そういうのならスカルプチャと魔法とアイテムの関連があって色々考えて楽しめたと思うのだが。スカルプチャは敵と戦えばいつかは手に入るんだよ?敵と戦うってのは基本的にレベルを上げると同義。従って別に2段階でないといけない理由はないと思うんだが。

2−5.TPと回復魔法の存在

…当たり前だよね。リバースでこれらがなかった理由がいまだ分からない。いや、もうリバースのことは忘れよう…。

2−6.熟練度

今回は全特技とも熟練度は50まで。おかげで今までのように上位技を覚えるために必要以上に戦闘を繰り返す必要がなく、ラクでした。使えない技をいつまでも使う必要がないのはありがたいし、従ってパーティー編成も自分で好きに固めやすかった。

3.クライマックスモードとクライマックスコンボ

クライマックスゲージが満タンになると発動できる、敵の動きを一切封じてのタコ殴りモード。クライマックスコンボはその最中に4人いる時に発動できるコンボ…なんだけど、いくらそれが爽快でも、あくまで敵が普通にいるところに仲間と連携するのが楽しいのであって、無防備な敵にコンボを決めてもさほど爽快じゃないような…。シンフォニアのユニゾンアタックは複合特技とか出て楽しかったが、今回は別に特技の組み合わせとかはない。ただ殴るだけでクライマックスコンボの演出だって大したモノじゃない。攻撃のために出す、回復のために出すなどの戦術性はあるかもしれないが、魅力的なシステムではなかったな。

4.号令と作戦、オートの行動

さっき書いたように対空に弱いことを含め、今回はどうにもオートの行動がおかしい気がする。というか、作戦の選択幅からして小さい。敵と距離を保つように設定しておいても囲まれて逃げなかったり、逆に充分に距離があるのにわざわざ近づいたり。ショートカットから術を出そうとしたらせめて距離置いて詠唱始めろよ…。すぐ潰されるだけだろ。回復魔法のタイミングも絶対に遅い。いくらディフェンス寄りにしてもそう感じたし。結果として仲間と連携するって感覚がいつもよりなかった気がする。これはダウン攻撃がやけに多いことも含めてだけど、コンボが途切れやすかったんで。

さらに号令。集中攻撃、分散攻撃、防御の3つしかない。また大雑把だよね…。今までは作戦を振り分けて号令としていたのに、決まったのしかないからやけに大雑把に感じたね。さらに俺は戦闘のリズムを崩さないためにできる限り戦闘メニューは開きたくない。なので、号令を出すためにメニューを開くのは煩わしかった。右スティックあるのにねぇ…。戦闘のリズムと言えばターゲッティングもあるな。ターゲッティングの度に情報ウインドウが出て戦闘が止まるのも俺はイヤだったよ。いや、敵の情報が出るのは便利だから必ずしも悪くないんだけど。ただ、味方にかける魔法でターゲッティングするのにもウェイトがかかるからなぁ。これらが積み重なって、今回は戦闘が非常にリズミカルでない印象を受けました

5.スペクタクルズとモンスター図鑑

スペクタクルズを使わずとも1回戦闘すれば情報は参照できるので、スペクタクルズはボス戦のみ。今回はモンスター図鑑がないけど、戦闘時にターゲッティングで情報の参照はできるので問題ないようにも見える。が、問題はそこじゃなく、敵の出現場所が思い出せないトコにある。…そう、スカルプチャ集め。必要なスカルプチャを持つ種族がどこにいるか分からんのです。肝心な時に思い出せないから必要なんだよね…。

6.戦闘音声

量は多いと思う。けど、戦闘終了時の掛け合いは少ないかなと。これはデスティニー2が最高で、シンフォニアが最低だと思ってる。シンフォニアはほとんどロイド(操作キャラ)が喋るだけだもんねぇ。

それと、インディグネイションの詠唱が変わっていたのは無視できないことだろう。前にも書いたことがあるけど、テイルズフリークにとってインディグネイションの詠唱は全ての根底にある重大要素。これだけは何があっても変えて欲しくなかった…。

7.スキット

激減。他で容量を食ったせいだろうか…。まぁこれのためにゲーム本編が薄くなっても困るんだけど。ただ、スキットは今やテイルズにとって必要不可欠な要素。その内容が雑談であればあるほど、キャラを見せる手立てとなっていたのだが…。

8.パン

今までの料理に相当。今回はシステムの制約のおかげの副産物で街が2つしかなかったので、ほとんどの素材がウェルテスで揃うおかげで便利さが各段にアップ。反面、持てる上限が中盤まで10個だけはのは不満。30個持てるなら序盤からそれでも良かったのでは?回復量はパーセンテージなんだから、序盤こそ大量に欲しいところだし。

9.称号

今回は称号ごとにボーナス値が固定。シンフォニアまでは(もはやリバースは完全になかったことに/爆)レベルアップ時にボーナスとして加算されたため、やはり強いものに固定されていた。シンフォニアは衣装の変わる称号もあったのに生かせなかったからね。今回は固定されたから比較的自由に選べて良かった。どうせなら衣装称号も欲しいところだったけど。

10.あらすじブック

今回はキャラの担当性で、これがキャラを見せる手立てにもなっていた。日記っぽくてなかなか良かったが、どうせなら次の目的地の行き方をもう少し詳しく書いて欲しかったよね。うっかり次の目的地行く前にセーブしてやめて、再開した時に道が分からなくなる事が多かったからねぇ…。

11.合成

キャラクエ突入後の要素。素材は比較的入手しやすいのでやり込み要素としては希薄。ゆえに評価は分かれるところかと。

12.ソーサラースキャナー

同じく。ただ、言うほどアイテムは見つからないし、使用時のアクションによる拘束時間(2秒程度)がうざったくて使う気になれなかった…。

13.闘技場

同上。ゲストキャラはレジェンディア内から。俺はやっぱり他シリーズから出して欲しかった…。

14.謎のタイムラグ

よく分からないが、アウトフィールドの戦闘終了時にワールドマップに戻る際、3秒ほどのタイムラグが発生する。これがダンジョン内ではないんだよね。不思議でならない。これのおかげでアウトフィールドのレベル上げをする気にならず、わざわざダンジョンまで行く事になった。ま、ダクトで一瞬で行けるから良かったけどね。

15.ボス戦前準備

やっぱり、ボス戦前は必ずメニュー画面を開かせて欲しかった。…というのも、特技の使用回数を増やしながらダンジョン攻略してて、イキナリボス戦になって苦労した事が何度もあったから。アーツ系だけで長期のボス戦なんかできるワケない。戦闘前のイベントが長かったりすると絶対に全滅したくないもんね。

16.クリア後特典

今回はグレードショップの質が悪いというか、必要グレードが少ない。とりあえず400もあれば2周目には困らないんだが、俺クリアした時のグレード1300あったよ?

…まぁグレードの算出方法もちょっとキビしいというか、バランスが悪いというか…。大体、オートが勝手に出した技が敵の耐性だったとか言われても困るっての。

2章 音楽編〜鳥は鳴き、僕は歌う〜

音楽センス×の特殊能力を持つ俺としては毎回ほぼスルー状態の音楽編。今回も率直に。全体の感想としてはかなり良し。歴代1位の質と言っても過言じゃないかと。ゲーム始まって最初の自由行動時に流れた曲がコーラス付きだったし。ただ、疑問も。今までのシリーズほど曲数がないんだよね。というのも、イベントやダンジョンなどは揃ってるんだが、フィールドと戦闘の種類が各々1つだけ。今まではシナリオの状況や時代に合わせて細かく変わってたもんね。そのレパートリー減の分、内容的には薄い印象が…。なまじっか質が良いだけに曲変更ナシはかなり気になった。今回は事前情報として2部構成が分かってたから、そこで変わるって勝手に予想しちゃってたしねぇ。その予想を裏切られたためにマイナスポイントの幅は大きかったと思います。

3章 キャラ解析編〜キャラデザインを変えた意味が分からない〜

1.セネル・クーリッジ

テイルズ史上初のケルナグールな主人公。最初のうちは主人公らしからぬ協調性に著しく欠けるキャラだったが、物語が進むに連れての成長具合はなかなか素晴らしかった。歴代主人公が真っ直ぐな性格だった分、意外だったといえば意外だが。…ヴェイグもか。

で、ケルナグールな主人公なんだが…操作性はイマイチ。歴代のケルナグールと言えばエターニアのファラやシンフォニアのリーガルがそうなんだけど、こいつらの特性として特技や奥義という概念がなく、地上・対空・空中のどの順番でも繋がるというアクロバティックなコンボが可能だったワケですよ。それが今回は完全に通常→特技→奥義という普通の括りに縛られちゃったから。なおかつ、打撃ユニットの特性である攻撃範囲の狭さもネックになるワケで。投げ技があるのはありがたかったが、歴代主人公の中で最も扱い難いキャラだったと思う。

2.シャーリィ・フェンネス

妹担当。ヒロインでありながらその見所は第1部に集約されてしまい、最後には結構置いて行かれた感が否めません。さらに付け加えると、ステラの存在がどうしてもシャーリィをヒロイン争いから脱落させてしまいました(笑)。少なくとも俺にとっては。

キャラクエ開始と同時に初めてパーティーに加入し、最初に驚くのがファイアーボールの消費TP52というコスト高。次に覚えるアイスウォールが消費54。後半になると使い勝手のいい上級魔法も覚えるが、補助魔法は微妙だし、回復はキュアだけ。せめてリザレクションを…。

3.ウィル・レイナード

オヤジ。その一言でいいだろう(爆)。生徒に手を出すのはどうか。…全く。実世界なら捕まりますよ!

攻撃から回復までなんでもこなす術のスペシャリスト。その効果範囲がやや狭いかもしれないけど。持っているハンマーは言うほど役に立たない、見た目のマッチョはユニットとしては何の意味もなかったです。ロニは良かったなぁ。

4.クロエ・ヴァレンス

位置的にはシャーリィのライバルというか、ヒロイン候補。ツンデレ担当。が、キャラクエは一番血生臭かった。

戦闘での使い勝手がセネルを抜いて一番。虎牙破斬の対空性能が良く、全体的に対空攻撃に問題がある今作では比類なき強さを発揮。散沙雨系の特技は相手の足止めにも使えるし、威力・手数ともに優秀な技が多く、攻撃のエース。やや打たれ弱いのはジューダスで慣れている(笑)

5.ノーマ・ビアッティ

お笑い・ムードメーカー担当。キャラ的にはアーチェに近いかな。シナリオを見ると現実の人間に一番近いキャラだったような。それゆえに結構思い入れのある人も多そう。ザマラン→スヴェン→ノーマと続く師弟関係とか、ただ適当としか思えなかったエバーライト探しの目的とかも一番実世界に近い視点でのシナリオだったように思うし。感情移入という点では最も良かった。

唯一の全体回復であるリザレクションを使えるただ一人のキャラ。そのためにザコ・ボスを問わずパーティーに入ることに。それがパーティー編成を狭める要因なんだって…。8人いながらそれで固定されちゃうからねぇ。だからシャーリィにもリザレクションを覚えられるようにしておけば良かったのに…。

6.モーゼス・シャンドル

3枚目担当。別名はゾロ(笑)。「モーゼス」って言うより「ゾロ」って言ったほうが通りがいいんよ。ジェイとのコンビネーションは見事だったと思います。ギートとの別れのシーンも良かったけどね。

武器が投げ槍なので対空性能は素晴らしいのだが、特技が基本的にタイムラグのあるのが多いために一人のコンボには一切向かない。ただ、ボス戦においての中距離牽制など、オートでの使い勝手は抜群。クロエやジェイが打たれ弱いだけに、敵陣に勝手に突っ込んでいかないモーゼスは意外と賢い。

7.ジェイ

…どうにもコイツが人間には見えないのですが。子供なのに大人を演じるしかなかった。モーゼスとの「兄弟」的なシナリオは良かったと思います。あのハイタッチはキャラクエの中で最も良かったと思えるシーン。

ジェイもまた使い勝手は微妙。やっぱり技にクセがあるからねぇ。同じ忍者でもすずとはえらい違い。消費TPも全体的に高いし、打たれ弱いしでなかなか難しいキャラ。

8.グリューネ

お色気担当。記憶が戻ってシュヴァルツとの戦いに勝って、最後、自身が消える時にまたみんなのことをちゃんづけで呼んだ時はグッときた。やっぱ消えたくはないんだろうなって。記憶が戻る前のグリューネが本当のグリューネなんだろう。自分がするべきことが自分の存在理由だったり、自身の感情で生きれないのはツライかなぁ。

攻撃魔法のスペシャリストだが、それだけ。詠唱がある以上はボス戦で足手まといになりがちなのは魔法使いの宿命なのだが…。記憶が戻った後でも性能が変わらない、戦闘音声が他のキャラとほとんど掛け合わないとかの理由で外しがち。シナリオの根幹に絡むのとは裏腹。

9.ヴァーツラフ+トリプルカイツ他

今回の敵はまた魅力のないメンツだったと思います。ヴァーツラフ達は単なる侵略者、ソロンは暗殺者、シュヴァルツは「滅ぼす」存在。結局誰もダオスみたいな「信念」を持っていないからだろうけど…。悪役であれ魅力のあるものにするにはそれなりのものをテキストとして起こす必要があるのに、それがなかったからねぇ。唯一、トリプルカイツのスティングルは例外か。

10.水の民(フェニモール、テューラ、マウリッツ、ワルター)

つーか、マウリッツが死んでなかったのは普通に驚いたね。1部最後がああいう決着だったから死んだと思ってたのに、1部のエンディングで何食わぬ顔で出てるんだもん(笑)。フェニモール姉妹はシャーリィとの関係及び水・陸の民との関係を作っていくうえで重要なキャラだったが、ワルターはイマイチ掴めなかった。別にいなくてもよかったような(爆)

4章 シナリオ編〜今回も痴情のもつれ?〜

根本原因はそこにあるような気がします。セネルとシャーリィとステラとの微妙な三角関係は、少なくとも水の民と陸の民の確執の一端を担ったのは確かですね(笑)。全く、リバースのミルハウストとアガーテに続き…。

1.2部構成の善と悪

これはもう良かった部分と悪かった部分が両方出ましたね。全体的な感想としてはテイルズ史上最高に近いシナリオの出来だったと思います。ただし、これは「キャラクター」という一点においてのみ。メインのシナリオは相変わらず疑問を抱かずにはいられない内容。今も書いたけど、この2部構成の前半、主にセネルとシャーリィ、そしてステラを中心とした陸の民と水の民の確執。これはそのままリバースのミルハウストとアガーテ、ヒューマとガジュマそのままです。で、この種族間対立というのはシンフォニアにもエターニアにもあった。同内容が形を変えただけ。それだけに前半部は「またかよ…」という感がアリアリ。

しかしその種族間問題が解決し、2部に当たるキャラクタークエストに入ると、その評価は一変。シナリオが「世界」から「個人」という規模に変わったせいもあって感情移入もしやすく、そういった面でかなり楽しめました。キャラクターを立てることに成功すればシナリオ全体の見方も変わるんで。スキットが少なかったのが逆に、シナリオだけでキャラを魅せられたんだと思います。

…が、それにも問題が。2部で各々スポットが当たったけど、そのために1部で決着した主人公セネルとヒロインのシャーリィが置いてけぼりになってしまった感は否めないかな…と。1部がセネルとシャーリィのキャラクタークエストとも言えたしねぇ。さらに言うと、ステラがいる以上シャーリィはどうしても負けてしまう。ゲーム内でのシナリオ上はともかく、少なくともプレイヤーにとっては。ステラが死ぬシーンは今回一番のシーンだろうし、オープニングムービーにもしっかり顔出してるしねぇ。だから後半、もう一度この2人の話を持ってくるべきだったと思うんだけどな。

で、キャラクタークエストのグリューネ編。これが本当の最後のシナリオになるんだけど、これを「グリューネ編」という括りで最後まで持っていってしまったのはちょっと物足りないかなと。やっぱり、最後には「終章」的な言葉を持ってして終わりを実感できるからねぇ。グリューネが消えて終わってしまった事がさらに物足りなさというか、空虚感を倍増させてしまった。

それと、ちょうど話も出たことだしオープニングムービーの事も書いておこうかな。2部構成なのはいいんだけど、ムービーは変わらなかったからいつまでもヴァーツラフと戦うシーンがあったりするのは興ざめだったように思う。ワイルドアームズとかはきちんと変わるんだけどねぇ。1部と2部が共存しているから、1部進行中にはネタバレ、2部進行中にはいつまで出てくるんだよ!みたいなカンジが…。

テイルズを語る上で俺はよく「シリーズ間の統一性」ということを言うけど、シナリオだけはあまり統一しちゃダメだと思うよ…。常に新しいものを!

2.テイルズ史上最高の世界観の狭さ

これはどのゲームでも気になるんだが、前作よりも世界が狭くなるとどうしてもつまらなく感じてしまう(物足りない)んです。これはWA4のレビューでも書いたけど。今回の舞台は「遺跡船」で、その中には街も山も海もある、1つの世界。だけど所詮は船でしかなく、その外には普通の世界があるんです。しかもシナリオ上ではウィルのいるレクサリア、クロエのいるガドリア、そしてヴァーツラフのクルザンド(だったっけ?)といった少なくとも3つの国家があって、それらが遺跡船を巡っての政治的駆け引き…とかいう展開もあったのに、結局2部に入ってもその遺跡船のみでの展開に終始。それどころか1部で攻略したダンジョンをまた攻略するハメに。いくら宝箱の再配置とかあっても、同じ事の繰り返しにしか過ぎない。音楽編でも書いたけど、2部で音楽が変わることもなかった。拠点となる街は基本的にウェルテスのみ…など、終始窮屈なカンジに苛まれてました

なおかつ、「世界を無に返す」存在のシュヴァルツがラスボスなのに、世界観は遺跡船に終始するのはやっぱり腑に落ちないです。だってプレイヤーに世界を感じさせてないんだから。

3.ラスダン闘技場化計画

世界観の狭さに付け加えて、ラストダンジョンのバカらしさ。最後の時の揺り篭はただボスと連戦に次ぐ連戦なだけで、攻略のこの字もありません。闘技場と一緒。事実上のラストダンジョンは光跡翼で、これは1部のラストダンジョン。結局最後まで窮屈なだけでした。ああいう形にする意図が分からないです。普通にダンジョン作って、特定の場所にボス配置じゃダメだったのかな?せめてラスダンくらい違うの用意しておいて欲しかった。

4.シャーリィの謎

…ちょっとこれは俺が忘れてるだけかもしれないけど、シャーリィって海水に弱かったよね?水の民、その元である蒼我が海ならなんで海水に弱いんだろ?託宣の儀式を通らないとダメなのか?でもあれはメルネスだから必要なんじゃなかったっけ?…良く分からないです。えぇ。いや、まぁこれだけ肝心な事だし、俺が忘れてるだけかな…。あれだけ途中で投げ出せばなぁ…(笑)

終章 総括と次回作展望編〜はるこ一人勝ち?〜

一部の人の間では早くも「テイルズオブ・ジ・アニス」とか言われてるトカ言われてないトカ。…じゃ、これから「アビス」の略称は「はるこ」で行きましょう(笑)

…さておき、今回の総括。シナリオは今回なかなか良かったと思います。だけどそれはキャラクタークエストに限ってという条件付き。もう少しメインシナリオにテコ入れができれば…。とりあえず「はるこ」(早速使う)に向けてシナリオに対する期待度は持てました。そして反対に戦闘を中心にしたシステムが今回はダメだった。いや、リバースより幾分マシだったけどさ。キャラクタークエストに入ってシナリオを進めたいのに、ゲームの進行はさほど熱中できない。BGM変更もなかったし。今までのテイルズはシステムを楽しめたんだけど、今回は全く逆。どうしてこう両極端になるかなぁ…ってのが総評かな。結局ラインが1つになっちゃったことで敵のサイズも小ぢんまりしちゃったし、ラスボスだってサイズは人と同じだもんねぇ。でも「はるこ」ではフリーランもあって複数ラインなので解消できるでしょう。従って次回作への期待は充分保てるかと。

…といったあたりでレジェンディアのレビューを終わりたいと思います。今回もリバースに続き辛口でしたね。我慢の時?

おまけ 俺的3大シリーズものの順位変動

レジェンディアの前にクリアしたのはエタマナ2。それを終えた時点でのランキングが1位ワイルドアームズ、2位アトリエ、3位サモンナイト、4位テイルズ、という順位でした。エタマナ2で評価を大きく上げたアトリエシリーズが躍進し、リバースで大きくランキングを下げたリバースがベスト3陥落という大きな変動が。さて、今回はどうでしょう?

1位…ワイルドアームズシリーズ
2位…アトリエシリーズ
3位…テイルズシリーズ
4位…サモンナイトシリーズ

こんなカンジか。ワイルドアームズはあれから動きがないんでそのまま。アトリエシリーズはマリー+エリーが出たけど、これは昔やったから買ってないし、今更やる気もないんでアトリエシリーズに対する評価ポイント自体は下がってます。が、一応シナリオを評価して3位返り咲きのテイルズがそれに届く事はないです。やっぱエタマナ2の評価はWA4に劣ってもないんで。サモンナイトはエクステーゼで評価を下げました。あれはもうサモンナイトじゃないし。あくまでサモンナイトが評価を下げただけで、テイルズの評価が上がったワケじゃないのはポイント。「はるこ」でどこまで伸びるか?…やっぱアビスをはること略すのはムリがあるかなぁ(笑)

しかし、エタマナ2の一点突破とは言え2期に渡って3強に割って入ってるなら、俺的3大シリーズものはアトリエシリーズを含めたシリーズもの四天王くらいに変えるべきなのかもしれないな。


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