合同句集   遠鹿見春秋 本文へジャンプ
 市川正一郎  棟梁の立つより崩る焚火の輪
 岩金  妙子  嫁の吹くオカリナ讃美歌聖夜なる
 大竹   仁  初燕土蔵に開く歌謡塾
 小田 和義  缶ビール飲み干す何と青き空
 小田紀美子   美容院に居眠る農婦春深し
 大場 一司   新築の家高らかと福は内
 大場 艶子   当選の歓喜に揺れる紅牡丹
 大場 遊水   出番待つ鬼がかくれて股火鉢
 大村 澄子   編み過ぎを黙ってほどく秋灯下
 小笠原砂友   生涯を父にそむかず初歯療
 筧  ますみ   天高し鉢巻の吾子Vサイン
 金澤 房子   大根を蒔けと看とりを帰しけり
 金澤 若依   柿捥ぎて軽くなりたる茜空
 川嶋 寛巳   寝たきりの母に聞いては盆支度
 神谷 尚代   嫁がせて都忘れの濃むらさき
 小嶋 昭風   バラに名札生涯名刺持たざりき
 小林としえ   葱坊主孫の来てよし去りてよし
 白井喜久子   文字読めぬ児が懸命のカルタ取り
 高橋 ゑつ  髪染めてしばしの若さ十二月
 高橋 克代   湯ざめとて夫に掛けやる女物
 高橋 一代  行く道も振り返りても朧なる
 中村 福雄   納骨のちちろに鳴かれ坊泊り
 丹羽 釮子  寺総代婦人の増えて初勤行
 平松 政子   背を丸め草取る母に赤とんぼ
 本多香代子  露けしや川宿にある姫鏡
 宮瀬 残月  百姓に倒産はなし葱坊主
 横田とし枝  干し足りぬ梅に戸惑う雨の空
  (故)大場 峰子  花の影寄り添うてゆく金婚日
 (故)小田 浪花  枯野星一つを亡母として眠る
 (故)宮原 風子  春一番父の残せし軍毛布