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句会報

三河1月号(平成24年11月13日句会報)

蛸壺に伊勢海老ひそむ神の留守   昭 風
伊勢に向き鶲高枝に声を張る    房 子
誘われて小春の様な人と旅     艶 子
枝に熟るる筆柿ひとつ俳画とす   克 代
花嫁の項清しき菊日和       幸 子
小遣い帳におさいせん代里祭    紀美子
小鳥くる俊成像の太刀の先      妙 子
獣より人驚かす威し銃        和 義
水澄むや鱗光らす鮠の群       玉 泉
星辰の揺るぎなき位置秋深む    安 子
ロープウェー紅葉の中へ滑り出す  玲 子
ひと棹で向き替ふ舳先水の秋    美智子

  三河2月号(平成24年12月11日句会報)

彫深き碑文字に籠る冬の蜘蛛    昭 風
冬の雨渡しに包む心付け      房 子
家苞の重き荷となる林檎狩     克 代
ロープウェー中の歓声雪の富士   幸 子
日の暮れの夫は無口に蜜柑切る   紀美子
連弾や銀杏紅葉の降りしきる     妙 子
暮早し鐘の音遠くのお寺より    和 義
芝居はね女形みおくる時雨かな   玉 泉
売れるたび手締め湧き立つ酉の市  安 子
草の実やごつごつ歩く石畳     玲 子
冬日濃し美しき阿修羅をただ見つむ 美智子
三河3月号(平成25年1月15日句会報)

降る雪や庭木に潜む鳥のかげ     昭 風
大向う席主らしきや終ひ寄席     房 子
縫い初めは曾孫の肌着揃えけり   艶 子
若水や夫朗々の般若経       克 代
松過ぎて始まるたつき一人の餉   幸 子
瓶底にかたまる目高寒の入り     紀美子
連凧の母なる海の空へ伸び      妙 子
表札のローマ字綴り注連飾る    和 義
玻璃ごしの冬日あまさず身にもらふ 玉 泉
老ゆもまた未知の道なり年迎    安 子
大晦日に閉ざす山荘湯のあふれ    玲 子
楪や祖母の煮豆の味を継ぐ     美智子
  三河4月号(平成25年2月12日句会報)

立春の風切る馬の砂煙       昭 風
炭焼けし頃合烟る山の晴      房 子
山寺へ豆撒きに行く八十路坂    艶 子
枡ささげ祓われてより豆を撒く   克 代
立春の雨沖見えず鉛色       幸 子
賀状来る習いはじめの漢字入れ   紀美子
冬耕の天地返しの土新た      妙 子
平成も四半世紀や一月尽      和 義
笹子鳴く靄の底なる一部落     玉 泉
肩越しに覗く粥占梅ふふむ     安 子
春炬燵童話を積んで夢の中     玲 子
下萌の馬場に長靴を磨きをり    美智子
 
  三河5月号(平成25年3月12日句会報)

木に力満ちきし気配風光る      昭 風
豪商の土間に駕籠吊る鳥ぐもり   房 子
花の句をのこす宿帳ひとり旅    艶 子
祝事ひとつ終えたる弥生かな    克 代
苗札の丸文字の子転校す      幸 子
味噌蔵に天窓七つ寒の晴      紀美子
笹子鳴く枝移りして見え隠れ    妙 子
快晴の空へ除雪機雪飛ばす     和 義
轡もてふたり懸りの厩出し     玉 泉
大すずみ燃え如月の風を生む    安 子
蹲踞に名残の雪や酒の蔵      玲 子
芽の殻を毛先に乗せて猫柳      茂
窓越しの風を眩しむ春の風邪    美智子
  三河6月号(平成25年4月9日句会報)

家族の写真うつし巣立つ子桜東風  昭 風
さへづりや切株に置く双眼鏡    房 子
花吹雪浴びて傘寿を自祝せり    艶 子
駆けるかに白馬の像や花ふぶく   克 代
ゆく春を音なくこぼる砂時計    幸 子
見えていて遠き三門梅三分     紀美子
馬酔木咲く城趾にほのと昼の月   妙 子
花咲けば時の挨拶花に触れ     和 義
囀や舟を遊ばす渡し守       玉 泉
夕潮の藻屑ついばむ残り鴨     安 子
笑いとる僧の説法あたたかし    玲 子
膝つきて鬼の祓わる春祭り      茂 
対岸に手を振る渡し花菜風     美智子 
  三河7月号(平成25年5月14日句会報)

おろち退治の太鼓早打ち夏神楽    昭 風
灌仏の家並美し浦の町       房 子
珈琲とフランスパンと聖五月    克 代
クロユリの丈の短かに身を屈め    幸 子
山越えをゆるやかにせよ藤の花   紀美子
古き世のぼんぼん時計春ふかし   妙 子
菜の花の登り詰めたる黄色かな   和 義
竹桴の音色かろやか風薫る      玉 泉
ほととぎす役の行者のしかみ顔    安 子
逆上りあと少しの子若葉風     玲 子
万緑や産着真白に宮参り        茂 
田主は都会育ちの元教師      美智子
  三河8月号(平成25年6月11日句会報)

水の辺の花に影なき糸とんぼ    昭 風
夏ぐみの渋なつかしむ子規の庭   房 子
梅漬ける老人ホームの友のため   艶 子
梅酒漬け待つ楽しみのひとつ増ゆ  克 代
庭に水打ちて子規庵客迎う     幸 子
花みかん介護施設の内覧会     紀美子
子規庵の開け放たれて風みどり   妙 子
高野山苔むす墓標木下闇      和 義
雨蛙湿りに疼く膝頭        玉 泉
滝過ぎて又滝過ぐる深山晴れ    安 子
老鶯や棚田をめぐる水こだま    玲 子
半球の亜浪の墓や薄暑光        茂
幼子のやうな母なり花みかん    美智子

  三河9月号(平成25年7月9日句会報)

ラジオすぐつける妻なり明易し   昭 風
馴鮨を提げて吹かるる潮の風    房 子
残鶯や八十路四人の湯治宿     艶 子
早乙女の裳裾の濡れて田を上がる  克 代
学童の姉さん被り御田植祭     幸 子
力士の待つ大型タクシー夏柳    紀美子
ほととぎす清水一学眠る墓     妙 子
くちなはを轢いてしまいぬ後は知らず 和義
草叢に翅とぢ沈む梅雨の蝶     玉 泉
七夕や児の夢吊す肩ぐるま     安 子
雲の峰一期一会の峠道       玲 子
どっかりと閉村之碑や苔の花      茂
梅雨雲にスカイツリーの吸い込まる 美智子

  三河10月号(平成25年8月6日句会報)

鉄くずを積み込む埠頭音灼けて    昭 風
三光鳥に呼ばれ深入りしたる山   房 子
落款の褪せし師の軸曝書かな    艶 子
虫干しの母縫いくれし婚衣装    克 代
一面の丘の緑や遠く富士      幸 子
竹箒で溶かす農薬夏盛り      紀美子
暑き夜の火元に隣る里の家     妙 子
明日の旅地図を広げる夏の雨    和 義
噴水に戯むる子供モザイクに    玉 泉
バラの束夫退職の夜を匂う     安 子
肌掛を蹴って寝返り熱帯夜     玲 子
白樺を映す湖面や未草         茂
一杯を母と分け合ふかき氷     美智子

  三河11月号(平成25年9月10日句会報)
昭 風
  房 子
  艶 子
  克 代
  幸 子
  紀美子
  妙 子
  和 義
  玉 泉
  安 子
  玲 子
    茂
  美智子

  三河12月号(平成25年10月8日句会報)
房 子
  艶 子
  克 代
  幸 子
  紀美子
  妙 子
  和 義
  玉 泉
  安 子
  玲 子
    茂
  美智子